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テクニカルガイド

ファイル形式と納品について

読了時間: 約 5 分

高品質な楽曲制作において、録音後のデータの扱いと納品形式は、最終的な音質を左右する極めて重要なプロセスです。Maravediflowでは、アーティストが次なるステップ(ミキシングやマスタリング)へスムーズに移行できるよう、業界標準に基づいた厳格なファイル管理を行っています。本ガイドでは、私たちが提供するファイル形式の詳細と、受け渡し方法について解説します。

ファイルの納品に使用される外付けSSDとプロ用ヘッドフォン

1. 推奨されるオーディオフォーマット

デジタルオーディオにおいて、圧縮のない「ロスレス」形式での保存は必須です。MP3などの圧縮形式は、聴取には適していますが、編集やマスタリングに使用すると音質劣化を招きます。当スタジオでは、原則として以下の形式で納品いたします。

  • WAV (Waveform Audio File Format): 業界標準の非圧縮形式。最も信頼性が高く、全てのDAWで動作します。
  • AIFF (Audio Interchange File Format): Apple標準の非圧縮形式。WAVと同等の音質を持ちます。

これらの形式は、波形データをそのまま保持するため、後の工程でEQやコンプレッサーを深くかけた際にもノイズが発生しにくく、クリアなサウンドを維持できます。

2. サンプリングレートとビット深度の選択

録音時の解像度は、音のきめ細やかさに直結します。Maravediflowでは、クライアントの要望に合わせて以下の設定を提案しています。

設定 用途 特徴
44.1kHz / 16bit CD品質 / 最終納品 標準的なリスニング環境に最適
48kHz / 24bit 映像・配信 / 制作標準 ダイナミックレンジが広く、編集に耐える
96kHz / 24bit ハイレゾ / 高精細録音 極めて高い解像度。緻密なエディットが可能

特にミキシング・マスタリング工程へ進む場合は、24bit以上の深度での納品を強く推奨します。これにより、音量の小さい箇所のディテールが保持され、プロフェッショナルな仕上げが可能になります。

3. マルチトラックとステムファイルの定義

納品されるデータの構成には、大きく分けて「マルチトラック」と「ステム」の2種類があります。

マルチトラック (Multitracks): 個別の楽器やボーカルの各トラックをすべて分けた状態です(例:キック、スネア、ベース、ギターL、ギターR、ボーカルメイン、コーラス1...)。詳細な修正や再ミックスを行う場合に不可欠です。

ステム (Stems): 似たグループをまとめた状態で書き出したファイルです(例:Drum Stem, Bass Stem, Vocal Stem, Synth Stem)。ライブパフォーマンスでの再生や、別のエンジニアに最終調整を依頼する場合に便利です。

4. 納品方法とメディアの選択

横浜のスタジオからデータを安全に受け取るための方法は、ファイルサイズに応じて選択いただけます。

  • クラウドストレージ: 数GB程度のプロジェクトであれば、セキュアな転送サービスを利用してダウンロードリンクを送付します。
  • 物理メディア (SSD/HDD): 大容量のマルチトラックセッションや、ハイレゾ録音の場合は、お客様ご持参の外付けSSDへの直接コピーを推奨しています。
  • スタジオアーカイブ: 録音データは、スタジオの規定に基づき12ヶ月間大切に保管されます。万が一の紛失時に備え、バックアップを確保してください。

5. 日本国内および横浜でのデータ受け渡し習慣

日本の音楽業界、特に横浜や東京のスタジオシーンでは、データの整合性と正確なラベリングが非常に重視されます。Maravediflowでは、受け取った方が迷わないよう、以下のような命名規則を徹底しています。

例:20260520_SongName_Vocal_Main_01.wav

このように「日付_曲名_パート_状態」を明記することで、後からファイルを確認した際に、どのテイクがベストだったかを瞬時に判断できます。また、納品時には必ず「トラックリスト(構成表)」を同梱し、各ファイルの役割を明確にします。

6. 納品後のチェックリスト

ファイルを受け取った後、以下の項目を確認してください。

✓

ファイルが破損なく開けるか(再生確認)

✓

サンプリングレートが指定通りか

✓

全てのトラック(ステム)が揃っているか

✓

不要なクリッピング(音割れ)がないか

まとめと次のステップ

適切なファイル形式での納品は、あなたの音楽を最高の状態で世に送り出すための基礎となります。もし技術的な不安がある場合は、納品前に当スタジオのエンジニアにご相談ください。

録音前の準備について詳しく知りたい方は、レコーディング前の準備ガイドを併せてご覧ください。